ekipedia APIについて
えきペディアAPIは、バリアフリーな交通アクセス案内が広まるよう、観光施設やホテルをはじめ様々な企業のホームページで、“えきペディアMAP”を施設へのアクセス案内に組込み利用いただける無料のWebサービスです。
→◆APIサンプル集・利用例◆をご覧いただけます。
→ 利用法/申込/技術情報 等詳しくは、えきペディアサイトをご覧ください。
IAUDアウォード2010優秀賞
(国際ユニバーサルデザイン協議会)
私たちの“えきペディア”バリアフリー案内システムは本年度【公共交通利用における移動支援情報の提供システムモデル構築】としてIAUDアウォード2010優秀賞を受賞いたしました。弊所の活動にご協力、ご支援いただいております皆様に深く感謝申し上げます。
グッドデザイン賞に続くこの受賞は、様々な分野におけるユニバーサルな取組が社会的に必要とされている証であり、わたし達はさらに「デザインの力を障がい者や高齢者、子育て支援の力に」を実践してまいります。
[受賞内容については下記サイトでご覧いただけます]
http://www.iaud.net/dayori-f/archives/1012/14-105731.php
[詳細はpdfをご覧下さい]
日本語:
http://www.annai.or.jp/project/iaudaward2010_j.pdf
English:
http://www.annai.or.jp/project/iaudaward2010_e.pdf
グッドデザイン2010受賞
(日本産業デザイン振興会)
私たちの 「“えきペディア”バリアフリー案内システム」は本年度グッドデザイン賞(公共サービスシステム部門)を受賞いたしました。全国の皆様のご協力に感謝申し上げます。
この受賞は弊所事業に協働していただいた個人やNPO法人、社会福祉法人の皆様をはじめ、事業開始時より研究助成をいただいた団体・企業様や交通事業者様、国土交通省、厚生労働省様と一緒に受賞できたものと考えております。この成果を踏まえ、更に社会に貢献できるようユニバーサルな社会を目指して、一層の努力と研究をすすめて参ります。
[受賞対象の概要・詳細、審査委員の評価は下記サイトでご覧いただけます]
http://www.g-mark.org/award/describe/36777?token=IFe4D20sh1
活動概要
交通機関のバリアフリー情報に対する高いニーズに対応するため、全国地下鉄駅の構内バリアフリーマップをWEBで公開し、より利便性を高めるためモバイル対応や冊子化を推進。これらの利用者評価に基づくユニバーサルデザインに向けた改善と、他社連携によるバリアフリー情報の整備普及を図っている。
目的
公共空間のバリアフリー化については、施設整備は進められているが、それらの施設利用のための案内情報整備は遅れており、喫緊の課題である。案内情報整備においては、障がい者などの移動制約者等への対応として狭義に捉えるのではなく、全ての利用者への移動支援に結びつく情報整備の視点が求められる。超高齢化社会の到来を見据えた、交通機関間移動をシームレスに案内するシステムの実現が求められているのである。
我々のプロジェクトは、ユニバーサルデザインにもとづく案内情報提供モデルを開発し、その導入展開と運用検証を通じて、真に利用者にとって使いやすい案内情報環境を提供することによって、障がい者を含む全ての人の自立的移動を支援するとともに、今後の案内情報整備における有意なモデルとならんことを願うものである。
現況課題の構造
1.事業者間における移動支援の案内課題
利用者にとっての案内情報のわかりやすさ・利用しやすさのためには、都市や事業者が異なっても一定の共通性が確保された表現や内容が必要である。既存のデザインシステムでは、降車系・乗車系などの系統サインにおけるカラーコーディングや、出口番号を用いた誘導、ピクトグラムの統一利用など、共通点は一見多く見られるものの、実際には多くの人が迷っている現実がある。迷うケースの多くは、交通機関の乗換をはじめ、異なる施設空間への移動に際して生じており、その大きな原因として、移動に伴い提供される案内情報が、管理する事業者の異なる空間の前後で連続していないことが挙げられる。デザイン・表示システムの統合以外の方策として、対処法は2つ考えられる。
移動経路上で隣接する事業者間の個々の案内システムでは、情報内容やその表現に整合性と共通性を与える。
ターミナルなどの多数の事業者が関与する大きな空間では、個々事業者の案内システムに互いの施設を案内補完する機能を持たせたシステムを付加する。
2.移動円滑化整備にともなう案内課題
駅の案内表示の多くは、健常者を基準にデザイン・システム化されたものが多く、バリアフリーは必ずしも前提とはなっていない。
バリアフリー施設整備に伴う案内情報整備は、
整備施設への誘導サイン設置が主であり、案内の補足的整備といえる。移動制約により利用可能な経路は異なることから、例えば経路途上に段差を含む経路誘導など、既設の誘導サインが往々にして移動制約者には有効ではない現実がある。
移動条件の異なる利用者への経路誘導が、表示矛盾しないサインデザインシステムとしての解決が求められている。
また他方、駅のバリアフリー施設整備が不完全であったり案内情報が不足していることにより、障がい者や介助者等にとって、外出に際してのバリアフリー情報の事前入手は必須となっている現状がある。交通機関の乗換えが多い外出では、バリアフリー情報を求め個々事業者のWEBサイト等で調べる必要がある。
多様なメディアを通じた案内情報提供環境の構築
3.現況改善に向けた取組上の課題
法に基づくバリアフリーガイドラインには、ユーザー視点で求められる案内情報提供の枠組みが明確ではないことも一因し、国内各都市の移動円滑化整備重点地区においても案内情報提供に関する対応、整備状況はバラバラである。
整備重点地区等の案内情報が重要な地域では、行政、事業者、利用者が参画する委員会等を通じて案内情報環境整備に取り組む、といった
一定のスキームが必要。
弊所の取組
諸課題に対して、以下のようにデザインオリエンテッドで解法を検討、具体的に取り組んでいる。
取組1「外出と交通の案内について」アンケート調査
弊所で2006年に大阪府下で、外出機会とその障壁・迷った経験と鉄道の利用しやすさ・駅の案内、など20設問からなる
アンケート調査
を実施した。2059票の回答結果として、約6割の利用者はエレベータ設置など鉄道駅の“ハード”整備を高評価している。しかし駅の案内はわかりにくいと評価が低く、健常者に較べ障がい者は駅で大変よく迷い、同行の介助者も7割が迷った経験があり、外出前に必要な情報が得られないとの不満が示された。また、駅の案内表示が機能として充足しているかを、移動の条件が異なる身体属性別に迷い方を比較分析した結果、バリアフリー施設とその経路を探しての迷い、ホームや他社線への乗換えでの迷いが多いと判明。外出時の不安もトイレや出口が利用できるか、駅で移動可能かが関心事であり、駅のバリアフリー案内の改善課題は以下の3項に要約できた。
<駅のバリアフリー案内_機能の改善課題>
移動円滑な経路のシンプルで分かりやすい案内が必要。
当事者が施設利用の可否を判断できる、駅出入口・トイレの設備・機能の明示が必要。
階段利用も前提にした出口番号を用いた降車系誘導表示では、経路にバリアがあることが多々あり、
円滑な
経路を示す誘導表示が必要。
図1:はじめての場所への外出で不安な事柄(複数回答)
図2:エレベータ利用時の迷い方
(利用している鉄道の駅の案内で)
調査レポートhttp://www.annai.or.jp/project/enquete.pdf
梗概「身体属性の視点に基づく公共空間の情報環境に関する現況分析」
取組2 移動円滑化案内のKeyコンテンツ開発
案内_機能の改善課題1)2)への対処の核となるのは、構内案内図と移動円滑化施設情報の整備提供である。情報提供に向けては、利用者の情報理解の負担軽減を図る上で、地域・施設・利用メディアが異なってもスムーズに理解できる内容や表現が求められる。とくに案内図デザインにおいては、多様な施設空間を対象として統一的に表現できる展開性と各種メディアへの適用時の再現性が求められ、これを開発要件としている。
移動円滑化案内図“らくらくマップ”
図3は案内図中への情報記載を厳選し、移動円滑化経路・施設の案内を重視し、障がい者から健常者までの利用を前提に開発されたマップである。交差する乗換駅も一図にまとめ、エレベータ、エスカレータを利用する経路空間を簡明に表現し、
バリアフリー
な出入口・トイレを見つけやすくしている。
図3:移動円滑化案内図“らくらくマップ”(例)
デザイン仕様 http://www.annai.or.jp/project/map_design.pdf
取組3 えきペディアMAPのデザイン改善
取組4以下の事例では各種メディアへの展開ともに、利用者評価とMAPの改善を実施している。 図4-1は2014年発刊の神戸と札幌の冊子を対象としたアンケート結果であり、図4-2は横浜の冊子を対象に2010年発刊時に実施したアンケート結果である。両者を比較すると"わかりやすい"との評価が各項目で増加している。デザイン改善として、改札口やピクトグラムなどの要素表現や地上出入口の位置を特定しやすくするなど、構成を含めた修正を実施し、高年齢層では評価が低くなる"色"や"文字"の見やすさも含め評価が高まっている。
なお、色覚異常への対処は、
2008年実施の研究
により、多配色の路線図デザインにおいても、使用色の厳密な検討により、
色名
やパターンなど色覚異常のみを対象とした視覚情報を付加することなく、正常色覚と共用できるデザイン成果を得ることができ、えきペディアMAPと路線図に適用導入されている。
図4-1:神戸と札幌版バリアフリー冊子の利用者評価
http://www.annai.or.jp/project/book4&5_questionnaire.pdf
図4-2:横浜版バリアフリー冊子の利用者評価
http://www.annai.or.jp/project/book2_questionnaire.pdf
取組4 バリアフリー情報の提供と普及
各都市の地下鉄事業者に情報提供の協力を求めながら、現場調査を踏まえバリアフリーkeyコンテンツを開発し、“えきペディア”システムとして提供している。以下の事例では各種メディアへの展開とともに、利用者評価と改善を実施している。
また、外出に伴う交通や行き先についての情報が相互に連携し提供されることが、実用面で望まれることから、イベント等主催者に開催会場やアクセスについてのバリアフリー情報の積極的な提供・露出を働きかける普及活動を行っている。
1)インターネットによる情報提供
2006年
に大阪の地下鉄駅バリアフリー情報を整備しWEBサイト“
えきペディア
”として公開。現在、全国の地下鉄721全駅について統一表現形式の“らくらくマップ”と路線図、施設情報を掲載し更新している。数度のサイトリニューアルとマップの全面改訂、色覚異常への対応改善を経て、現在サイトへは行政・交通事業者・障がい者団体・一般企業も含め、数多くのリンクが貼られ活用されている。また情報提供の連携を図るため、新潟国体、
アジアユースパラゲームズ
などスポーツ大会や食博覧会など主催者に、交通アクセスや会場・施設のバリアフリー情報をWEB等で広く案内提供することを薦め協力している。(図5)
2)印刷物による情報提供
高齢者をはじめ手軽に携行できる印刷物による提供要望が数多く寄せられる。このため都市別に主要駅掲載のパンフレットを案内所等で配布が可能なよう企業協賛を求め作成している。また地元NPOとの協働による各都市地下鉄バリアフリー冊子を
助成支援
により制作し、
当事者団体
や支援学校への配布実施とともに、継続的な発刊の体制づくりを進めている。(図6)
3)携帯端末による情報提供
移動中の車内でも情報閲覧できる携帯アプリケーションとして
9都市のiPhone版の地下鉄アプリ
を開発し販売している。また外出に関わる情報の連携を図るため、
時刻表
・街歩き・グルメ・アートなど様々なアプリとの相互連携を進めている。(図7)
図5:駅バリアフリー情報“えきペディア”Webサイト
http://www.ekipedia.jp/
図6:“えきペディア”地下鉄バリアフリーマップ大阪
(B6冊子)
http://www.ekipedia.jp/services/osaka_001-022w.pdf
図7:“えきペディア”地下鉄マップiPhoneアプリケーション
http://www.ekipedia.jp/services/iphone_app.html
取組5 ターミナルにおける案内連携モデル構築
弊所では昨年度、東北運輸局より
仙台駅周辺等におけるバリアフリーマップ作成プロジェクト
を受託、実施した。行政、交通事業者、障がい者団体が参画する委員会を立ち上げ、現況課題を事業者横断的に共有しつつ、現況案内サインを補完し、バリアフリー経路を把握しやすいマップ作成を目指した。
図8はJR仙台駅と歩行者デッキ・地下道で結節する駅をターミナル図として一図に示したものであり、“らくらくマップ”の表現形式に準じて作成している。作成途上、仙台駅周辺にてマップ携行と不携行の比較実証実験を行い、結果としてこのマップを用いることにより、駅周辺地区を俯瞰的に把握でき、目的地に至るための連続的動線を見いだせることが明らかとなった。実験結果に基づく細部調整の後、空港・鉄道・バスを含めたバリアフリーアクセスマップとして印刷配布された。
図8 バリアフリーターミナルマップ作成例
http://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/kk/tmmap47tamina(494kb).pdf
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